海士町滞在記

8月2日に静岡を出発しまして、27日まで隠岐海士町というところにいました。
公立塾である隠岐國学習センターでのインターンです。

海士町の高校教育についての説明を始めます。教育や過疎問題に興味あったら読んでください。
海士町にある島前高校は、隠岐島前3島唯一の高校。少し前まで、入学者が年々減少して廃校の危機だった。そこで、高校魅力化プロジェクトが立ち上がって、今では島外から島留学生が入学してくるような高校になっている。
離島とか山間部とかの過疎地域では、高校の統廃合が進んでいる。地域の高校がなくなると、高校生はその町に住めなくなって、外へ出ざるを得ない。このとき、家族一緒に引っ越してしまうケースも多い。また、高校生が住めない場所に、子持ち家族は引っ越してこない。高校がなくなってしばらくすれば、若者世代はほぼいなくなり、町の消滅すら見えてくる。だから、過疎地域では、高校の廃校を「回避」しようとする動きが起こる。
しかしながら、廃校の危機を回避しようとしている高校に入りたい、とは親も子も思ってくれない。だから、島前の人間も、外の人間も、入りたいと思うような魅力的な高校を作り上げるべきだ、ということで、魅力化構想が立ち上がった。
島には、農業や漁業や観光業などなど様々なことをしている大人が近くにいる。こうした大人と会って、話をして、作業をさせてもらったりすることで、普通の高校では学べないことを学べる。島にないことを専門としている人に話を聞きたければ、スカイプなどを使えばいい。進学校なら全国にいっぱいあるけれど、こうした全人教育を行えている高校はあまりない。島だから人数が少ない、という事実を、「少人数教育可能」という利点に変えて、魅力的な人を養成できる魅力的な高校教育をしているのが、島前高校。
そして、そこの高校生のために作られた“塾”が、隠岐國学習センター。一応、塾ではあるけれど、高校側とライバル的立ち位置ではなく、むしろ高校と協力して指導をしている。一部の授業で、話し合いの時間を設けているのが特徴的だと思う。もっと特殊なのが、「夢ゼミ」。夏休み中は、夢ゼミほぼお休みだったから、直接見学することはできなかったけど、自分の興味ある分野だとか、島の抱えている課題に対して、調べて考えて、とことん議論するような時間が設けられている。スタッフから、もしくは友達から、鋭い質問を何度も受け
て、社会で通用するような力を身につけられる。高校生らが考えながら書き出したホワイトボードを見て、こんなこと本気で考えてる高校生がいるんだということにびっくりした。

前説明がだいぶ長くなってしまった。(もし魅力化とかもっと知りたかったら、「未来を変えた島の学校」をぜひ読んでください。http://www.amazon.co.jp/%E6%9C%AA%E6%9D%A5%E3%82%92%E5%A4%89%E3%81%88%E3%81%9F%E5%B3%B6%E3%81%AE%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E2%80%95%E2%80%95%E9%9A%A0%E5%B2%90%E5%B3%B6%E5%89%8D%E7%99%BA-%E3%81%B5%E3%82%8B%E3%81%95%E3%81%A8%E5%86%8D%E8%88%88%E3%81%B8%E3%81%AE%E6%8C%91%E6%88%A6-%E5%B1%B1%E5%86%85-%E9%81%93%E9%9B%84/dp/4000248766  読みたい人いたら、しばらく貸せます。)
そんな場所で、3週間ちょっとの間、私は、数学や理科の質問対応をしつつも、海士町の地域のイベントに参加したり、観光したり、食事に連れてってもらったりetc.してた。

思い返すと、この滞在のために、たくさんの「初めて」を経験した。

岡山・鳥取・島根侵入
ホテルに1人で宿泊
離島上陸
牡蠣(しかも生)を食べる
道路にいる牛を見る
シェアハウス生活する
アワビを食べる
スナックに連れてってもらう
それなりの一食分の食事を用意する
うどん手作り&流しうどん
流れ星を見る(5分に1回以上は流れてた。)
紙テープで船のお見送り
商店の店主さんと駄弁る
キンニャモニャ祭り
夜光虫を見る
自分らで考えたことをプレゼンする
悪天候で足止めされる
釣り

こんなにたくさんの初体験を一気にしたことはないと思う。


生徒と交流するのも楽しかった。
数学とか理科とかの質問を受け付けてたんだけど、「分かったふり」をしなさそうな子が多くて、分からないところは、どう分からないのか頑張って説明してくれるから、やりがいがあった。
化学基礎教えたときは、単に面白い解答してくれて楽しかった、というのもあるけどね(笑)
勉強だけじゃなくて、生徒の提案で、休日に流しうどんしたのとか、休憩時間に盆踊りの準備に顔出して、学習センター勢だけで盆踊りしたのとかも。

また、島前観光もした。
海士町も、西ノ島町も、行ってないけどきっと知夫村も、私の見たことのないくらい素敵な景色の場所がいくつもある。
明屋海岸、摩天崖、通天橋、ローソク岩、星空…
名前の着いていない場所でも、ここいいな、って場所があった。
前半は晴天続きで、特に素敵だったらしい。幸運。
多くの人に、実際に見てほしいなあ、って思います。

いつかまた、今年度中に、海士町に滞在したい。
今度は、知夫村にも行ってみたい。
それと、来年の夏にもまた行って、キンニャモニャ祭りに参加させてもらって、地元青年部の方と喋りたい。(外部の人間であるインターン生なのに、屋台に受け入れてくれて、優しくしてくれて、来年もやりに来いよ、って言ってくれたの、とても嬉しかった。)
おととし海士町に行った先輩が、事前に言ってたように、ほんとに「最高のなつやすみ」になりました。