フィールドワーク

フィールドワークで、遺伝研に行ってきた。
理数科らしくw
夏休みに豊田工業大学におじゃましてるから、うちのクラスだけ大学には行かないんだと。
県内の大学行くんだったら、別に他のクラスが羨ましいなんてことないんだから←

午前中は講義。
備忘録代わりに講義の内容をここにメモしておこうと思います
って、講義内容をネットに公開するのってよろしくないのでしょうか?よくないのなら、コメントしてください。
というわけで、しばらく、あまり面白くない話が続くよ
(内容はそれなりに面白いけど、その面白さを伝えられるように文章で表せる気がしない。学問的な話を、面白いって思ってもらえるように話せる能力が欲しいです)
あと、僕はDNAと遺伝子の違いの理解が曖昧である、ということを断っておきます。(今日説明されたんだけども、なんかぱっとしない)

1「遺伝研と生物学研究」
DNAは、34億年前に生命が誕生したときからずっとつながっている。
生物はずっと進化してきた、という保証のもとに。
だから、マウスとかの他の生き物の研究を、ヒトに直結させることができる。
(なんでヒトの医療のために動物実験するの?って今まで全く疑問に思わなかったけれど、言われてみれば、動物の遺伝子がつながってなかったら、動物実験は意味をなさないのか、と。)

iPS細胞
略さないと、Indused Pluri-potent Stem cell
訳すと、誘導された複数の潜在能力を持った幹細胞
幹細胞とは、未分化の細胞。

生き物の細胞って、一番最初は体のどの部分になるか決まって無くて、時間が経つと、分化して、その細胞の役割が決まる。
その分化ということが起きてない、何になるか分からない細胞、逆に言えば、何にでもなれる細胞が未分化の細胞。
それで、iPS細胞は、「誘導された」つまり「人工的につくられた」幹細胞なので、一度分化した細胞を処理して、人工的に幹細胞にした細胞のことを言う。
(この辺の説明、自分の解釈が多少含まれてるので、若干語弊とかあるかもしれないです)

今までは、動物の分化した細胞はもう未分化の細胞にはなれないものだ、というのが生物学界の常識。(自分のメモにはこう書いてあるけど、よく考えたら、イモリの足を切ると、切断面の細胞が脱分化して未分化の細胞になって、再生芽を形成するから、「人工的には」未分化の細胞は作れない、が正しいかもしれない)
だから、未分化の細胞を人工的に作ろうなんて考える人はほとんどいなくて、だからこそ、諦めずにこの研究を始めて続けた山中伸弥教授はかっこいい。
自分の知識で解ける保証のない問題はすぐ解くのを諦めてしまう僕は少しでも見習わなくては。

iPS細胞は、皮膚の遺伝子に、ある4種類の遺伝子を入れてあげるとできるのだけど、この4つのうち2つは、場合によっては発がん作用を示してしまう。
ちょっと研究が進んで、発がんしにくいiPS細胞が作られてはいるものの、絶対発がんしない、とはいえない。
絶対大丈夫、っていう保証ができないから、iPS細胞はまだ実用化されてないそうだ。

世の中100%なんてそうそうないんだから、実用化しちゃえばいいじゃん、とか思ったりもするけど、ガンとか絡んでくると、やっぱ難しい問題だよな。
もし、今、自分がiPS細胞の技術を欲してたら、きっとすごい悩むだろう。
悩んだ結果、使うか使わないかどっちを選ぶかなんて、想像できないや。

実用化しようとしたときに、安全性とかに慎重にならなくちゃいけないのも、研究者の大変な部分だなと思いました。

自然科学とは、未知の部分を明らかにすること。
知識をつけて、未知のものを探して、実験して、考察・議論をして、発表をする。
この研究者のプロセスのおかげで、新たな発見が、世界中の人たちの知識へと変わっていくんですね。


2「ゲノム配列と生命情報学」
DNAは遺伝子が書き込まれているもの。
はしごみたいな構造してて、その段の部分に、AGCTの4文字で情報が書かれている。
つまり、DNAはディジタルな情報だから、劣化しない。
はずだが、たまーにコピーミスが起こって変化してしまう。
変化してできた個体(突然変異体)の表現型が、その環境に適していたら、その表現型が後世に残り、すなわち進化する。
もし適していなければ、消滅して、もとの表現型がそのまま台頭する。

DNAのところどころに遺伝子がのっかってて、その遺伝子の密度は生物によって異なる。
(遺伝子じゃない部分は、ただの繰り返し等。この遺伝子じゃない部分の存在意義は、まだきちんと解明されてない)
例えるなら、DNAは海で遺伝子はそこに住む魚。
海水ごと全部取ってきて、それから魚だけ取り出して、その魚の種類とかを調べるのが遺伝子解析。(この辺のたとえが面白かった。中村教授はプレゼンがものすごく上手で全くと言っていいほど飽きなかった)

今までは、一つ一つ遺伝子を手作業で探してーみたいな感じで遺伝子解析をしてたのに、海水ごと一気にやるようになっちゃったから(いや、やれるようになったから)、今までとは比べものにならないくらい膨大なデータが一度に集まってしまう。
だから、もはやスーパーコンピュータがなければ遺伝子学はできない時代なのだそうだ。

しかしながら、生物学者で、情報にも強い人ってそんなにいないから、それは問題である。
以前にも、いくつかの分野を合わせたような研究が必要になってる、でも分野の壁を行き来できる人は少ない、っていう話を聞いたことがあるし、専門分野に特化した人もいるべきではあるが、今の時代、複数の分野について行ける人が重宝するのかもしれない。

3「魚の研究からわかること」
魚もヒトも、中枢神経が背中側に、臓器が腹側にある。
だから、魚とヒトは似ている。
故に、魚の研究から、ヒトのことも分かってくる。
(一文目の証拠だけじゃさすがにここまでは言えないけれど、同じ脊椎動物と区分されてることとかを考慮すれば、言い過ぎじゃないでしょう)

また、メダカの遺伝子の58%がヒトと共通してるらしい。

遺伝子の役割を推測するには、(さっきの遺伝子解析という方法もあるが)その遺伝子が機能しないときの表現型と普通の表現型を比較すればよい。
普通じゃない奴を突然変異体というのだが、突然変異体を作る操作をした次の次の世代に実際に突然変異した表現型が現れる。(AA×aa→4Aa→AA,2Aa,aa)
つまり、孫の世代まで待つ必要があるわけで、故に、世代交代が早い生物が遺伝の研究には適している。
だかた、3ヶ月程度で子供を産む、マウスやメダカ、ゼブラフィッシュなどがモデル生物として研究にしばしば使われるのだそうだ。
また、魚の胚(産卵~餌を食べるまで、だっけ。記憶があやふや)は透明であることも、研究に適してる一つの要因。

4「生物多様性の謎に迫る」
多くの人は、進化説を信じてると思うのだが、これを最初に唱えたダーウィンの時代は、そんなの信じてなかった。
信じられていたのは、創造説といって、生き物は神様が作ったもので、違う種なら全くの別物、という考え方だ。
ちなみに、まだ創造説を信じてる人も少しいるらしい。

ある研究者は、イトヨ(魚の名前)の歯の傷の付き方の違いから、そのイトヨが何を食べてるのかが推測できることを発見した。
プランクトンを食べてる奴と、底の砂利の中にいるイトミミズを食べてるような奴では、傷の付き方が異なるそうなのだ。
このことは、イトヨの化石が何を食べてたのか知る手がかりになる。
こんな風な発見の積み重ねで、過去の生物の様子が推測されていく。

イトヨは、海水にも淡水にも生息する。
海のイトヨにはうろこがあって、淡水のイトヨにはそれがない。
海は捕食者が多いからうろこが欲しいけれども、うろこを作るのにCaを必要とするから、うろこがなくてもいいんじゃねっていう淡水中のイトヨはCaを節約する、って考えられてる。
生き物っておもしろい。

岩手県にイトヨが生息してる池があったけれども、津波の被害を受けてしまった。
今は復活してるけど、震災以前に比べ、塩分濃度が高まってしまった。
そこで、イトヨのうろこなどがどうなるか、ということなどが興味深いはず。


お昼ごはんのからあげ美味しかった(からあげ大好きな人。)

午後は研究所見学。

最初にイトヨを見せてもらう。
生物で習ったとき、もっと大きい魚を想像してたけれど、ずいぶんと小さい魚だった。
小指くらい、かな?
イトヨを捕まえる罠に使う餌は、雪印の6Pチーズ。ブルーチーズがいいって主張する学者もいるらしい。
冷蔵室の中にイトヨがいたんだが、その冷蔵室が部屋に欲しいって言ってた人が数人いたけどその気持ちを理解できないw

普通のイトヨは、求婚の際ジグザグダンスをするけれど、日本海のイトヨは背中の棘でメスをつつく。
すると、メスはそのオスを好くらしい。Mなんですか。
ちなみに、日本海のオスと他の場所のメスを一緒にしておくと、オスはメスをつつき、嫌われるらしいww
また、太平洋のイトヨは淡水でも適応できるけど、日本海のイトヨは死んじゃう。
日本海のイトヨは餌もより気使う必要があるようだし、環境の変化に弱い。
すぐ死んじゃう。
なんか日本海のイトヨかわいいとか思ってしまった。


次に、スーパーコンピュータの部屋へ。
説明してもらったけど、スーパーコンピュータを冷やすファンの音で全然話を聞き取れなかった。
静かな場所で説明してから、部屋へ案内してもらいたかったな。
自由に見学していいよ、と言われて、スーパーコンピュータ本体よりも、ファンの風で遊び始める僕たち。
すごいものなんだろうけど、見てもいまいちすごさが分からないんですよね・・・
最後の質疑応答の時間が楽しかった。


最後に、ゼブラフィッシュ。
部屋にはいると、ゼブラフィッシュの小さめな水槽がいっぱい。
ゼブラフィッシュ可愛かった。
発生の様子とか、ノーベル賞とった下村先生の光るタンパク質で光らせた卵を見せてもらった。
光るタンパク質は存在位しか知らなかったが、本当に役に立ってる技術であることを今日知ることができた。
受精1日目の胚が、卵膜の中でくるりと回ってるのがかわいいw



遺伝研って真面目な場所だから、そんなに楽しくないかなーくらいの気持ちだったけど、予想以上に時間があっという間に過ぎていった。
いろいろと勉強になったし、楽しかったです。
今のところ、化学系に進むつもりではいるけれど、やっぱり遺伝子学方面も楽しそうだなとか思い始めた。
ただ、動物実験が避けられないだろうな、というのが一番の問題なんだよね・・・。
生物分野もわりと好きなんだけどね。
そして、研究者への憧れが強まった一日でした。


遺伝研にいる時間は楽しかったけれども、帰りのバスで、たけのこにょっきやったのが一番楽しかった。
単純なルールのくせに、盛り上がれちゃうゲームって最強だと思う。
あと、最後はア行の文字という縛りのア行しりとりは、一人しりとりでも楽しめそうなので、よさげな暇つぶしを教えてくれてありがとう、と誰だか分からない発案者に感謝しておきますw